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新風舎の破産管財人である川島英明弁護士は、文芸社に事業譲渡して破産を確定させました。川島弁護士に要望書を送付した当会として、今回の破産処理および事業譲渡に関しての見解をお知らせします。
1.書籍の販売および廃棄について 当会では断裁処分するのであれば希望する著者に無償で引き渡すことを要望していましたが、定価の2割という買い取り価格は変更されませんでした。商業出版と同様の契約書を用い、著者の負担費用は制作費だと公言していたにも関らず、制作費を上回る費用を請求していた詐欺的商法であることを考慮した判断をされたとは思えず、非常に残念です。 2.著者に対する説明について 新風舎の倒産にあたっては、1月に印刷会社や外部委託者などの債権者への説明会は開かれましたが、著者への説明会は開催されませんでした。また、弁護士からのお知らせは新風舎のホームページを利用したものであり、インターネット環境にない著者はなんら情報が得られませんでした。多額の費用を支払っている著者に直接説明することなく処理が進められたために、著者の方たちの不安と混乱を招くことになりました。以上の理由から、弁護士は著者説明会を開くべきであったと考えます。 3.事業譲渡の判断について 文芸社は新風舎と同様の商行為を行っている出版社であり、かねてから批判を受けている会社です。しかも、文芸社は当会の質問書に対して回答せず、文芸社への疑惑や疑問はまったく解決されていません。新風舎の破産処理にあたって共同出版商法の本質的な問題点を調べていたのであれば、きわめて問題のある商行為であることが理解できたと思われます。法の専門化である弁護士が文芸社に事業譲渡したことで、文芸社の商行為にお墨付きを与えることになったともいえます。したがって文芸社に事業を譲渡させたことに大きな疑問を感じざるを得ません。 事業譲渡にあたっては追加費用がかかるとのことですが、すでに多くの著者が制作費の大半を支払っていると考えられます。それにも関らず支払い済みの費用が考慮されないのであれば事業譲渡することの意味があったのか疑問です。 さらに、既刊の著者の個人情報がそのまま文芸社に渡されることになりましたが、このような処置に不満を持たれる著者も多いと思われます。 以上の理由から、文芸社しか受け入れる出版社がなかったのであれば、事業譲渡にこだわるのではなく、データを著者に返還して著者自身に印刷会社や出版社を探してもらう選択肢もありました。 なお、弁護士は文芸社および関連会社の文芸社ビジュアルアートが「役務(サービスの内容及び費用)を提示する」としていますが、提示される契約が流通出版の「印税タイプ」であるなら、役務を提供する契約(請負契約)ではありません。 4.今後の著者の判断について 未刊の著者に対しては、文芸社から1ヵ月半をめどに条件が提示されることになっています。文芸社は利益をとらないとのことですので、以下のことについて確認されたうえで慎重に判断されることをお勧めいたします。 (1)著者に提示するのは「売上金還元タイプ」(請負契約)か、あるいは「印税タイプ」(出版社の商品をつくり、その売上金で販売や宣伝などの諸経費を賄う出版形態)か。前者であれば費用はすべて著者負担になりますし、その費用には出版社の利益が加算されることになります。後者であれば、制作実費のみ著者負担で販売や宣伝の費用は本の売上金によって賄う業態といえます。この場合、販売や宣伝にかかる費用以上の売上金が見込める本でなければ提案できないことになります。 (2)制作費の内訳、および販売や宣伝にかかる費用。 (3)本の予定価格。 (4)流通方法。提携書店へ陳列する場合は、その期間や陳列方法、陳列してもらえる書店数。売れ残った本の扱いとその費用(文芸社は提携書店に専用の棚を借り、売れ残った本は自社で買い取っているとされています。また、この棚はジャンル別ではなく同時期に刊行されたさまざまな本をまとめて置いているものです)。 (5)宣伝・広告についての確認と、オプション広告の有無。 (6)販売実績や増刷の実績など(新風舎の本の多くはほとんど売れていなかったといわれています)。 (7)編集のやり直しの有無やその費用(共同出版社では販売レベルまで高めるような編集をしていない場合が多いといわれていますが、販売を前提とするなら質の高い編集は必須です)。 ▲
by nakusukai
| 2008-03-17 09:26
| 活動
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by nakusukai
| 2008-03-12 09:54
| 活動
2008年3月10日
株式会社文芸社 代表取締役 瓜谷綱延 様 共同出版・自費出版の被害をなくす会 代表 松田まゆみ 制作費についての質問書 貴社は、当会が昨年10月1日に送付した質問書への回答を無視していますが、新風舎が倒産して共同出版に対する不信感が高まるなかで、このような無責任な態度をとられていることに対し強く抗議いたします。先の質問書への回答を再度求めるとともに、貴社が著者に請求している制作費について疑問が生じましたので、質問させていただきます。お忙しいこととは存知ますが、今月末までにご回答くださいますようお願い申し上げます。 記 貴社は協力出版(流通出版)における制作費の内訳を一部の著者に提示していますが、それらの内訳費用について理解できない点がありますので、下記の質問にお答えください。 以下は貴社が代表の松田(2001年契約、四六版、並製、278ページ、1000部)、Aさん(2003年契約、四六版、並製、160ページ、1000部)、Bさん(2005年契約、四六版、上製、244ページ、1000部)へ提示した制作費の内訳です。いずれも読み物です。 項目 松田 Aさん Bさん 組版 195,962 207,200 425,000 用紙 104,647 104,476 136,014 製版 198,506 189,000 226,200 刷版 130,033 92,000 64,500 印刷 205,055 137,800 126,000 PP 10,000 30,000 30,000 製本 219,984 80,000 77,000 リライト 150,000 企画費 250,000 350,000 デザイン 354,177 150,000 230,000 編集費 760,352 400,000 570,000 小計 2,178,717 1,790,476 2,234,714 消費税 108,936 89,524 111,736 計 2,287,653 1,880,000 2,346,450 質問1 Bさんの本は松田よりページ数が少ないにも関らず組版の費用は二倍以上です。製版も松田より高額です。ところが刷版ではBさんの費用は松田の費用の半額です。印刷費にも大きな開きがあります。なぜこのような開きが生じるのか説明してください。 質問2 PP(カバーコーティング)は松田と他の二人では3倍の開きがありますが、部数が同じであるのになぜこのような大きな開きがあるのか説明してください。 質問3 リライトが必要な原稿であるかどうかはいつの時点で決めるのでしょうか。 質問4 制作費に企画費が含まれるというのは理解できません。企画費というのはどのような費用を指すのか具体的に説明してください。 質問5 松田の請求では企画費がありませんが、なぜないのか説明してください。 質問6 Bさんは上製本であるにも関らず、並製本の松田およびAさんより製本費が安くなっていますが、その理由を説明してください。 質問7 デザイン費は松田とAさんでは二倍以上の開きがあります。ともに二つのデザインから選ぶという提案でしたが、なぜこのような大きな開きがあるのか説明してください。 質問8 編集費については、各人が実態に見合わない高額な費用であるとの見解です。しかも著者によって大きなばらつきがあります。どのようにして算出しているのか根拠を説明してください。 ▲
by nakusukai
| 2008-03-12 09:50
| 質問書と回答
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