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東京都消費者被害救済委員会は、平成19年3月7日に知事から「高齢者が結んだ自費出版契約等に係る紛争案件」を付託されていましたが、10月15日に、その審査の経緯と結果が知事に報告されました。
この事例は、趣味で短歌を詠んでいた80歳代の女性が、電話で共同作品集への短歌の掲載を勧誘され、その後、短歌集の自費出版やイベントでの展示などを次々と勧誘されて、9件、総額1038万7500円の契約をし、そのうちの524万1000円を自費出版に必要な費用だと思って、内容を理解しないまま支払ってしまったというものです。 女性の甥が、貯金が減っていることに気づいて、業者に契約解除を求めたものの応じず、クーリングオフも認めなかったために紛争になりました。このために、東京都は都消費者被害救済委員会に処理を付託していました。 この問題に対し、委員会は、事業者が申立人に524万1000円全額を返還する内容であっせんし、解決されました。報告書は以下に掲載されています。 高齢者が結んだ自費出版契約等に係る紛争案件報告書 報告書では、「電話勧誘、訪問販売により共同作品集及びこれを契機とした自費出版、雑誌への掲載、イベントでの展示など対価性が不透明で、生活に不要不急の契約を次々とさせるという契約形態」「高齢の消費者に抱かせた『夢』と事業者の業務の『現実』との格差がある契約はトラブルとなりやすい」などと指摘しています。 東京都の場合、消費生活総合センター等、都の相談機関に寄せられた相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼすような紛争については、都消費者被害救済委員会が「あっせん」や「調停」を行っています。 東京都内での自費出版に係る相談件数は、平成18年度は47件となっており、年々増加しています。共同出版・自費出版でトラブルとなった場合は、消費生活センターなどへ相談されるとよいでしょう。 ▲
by nakusukai
| 2007-10-19 15:23
| 情報コーナー
新風舎の広報室から以下の手紙がきました。回答が遅れるとのことですが、松崎社長からの誠実な回答を期待したいと思います。
* * * 新風舎 広報室 2007年10月15日 共同出版・自費出版の被害をなくす会 御中 拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。 貴会送付の公開質問書について、確かに拝受いたしました。小社としましても、出版された著者の方々を守るためにも、また、新しい出版業態の認知と発展のためにも、小社の活動をご理解いただいたうえで貴会に公平な目でご判断いただきたく、質問に対して真摯に回答したいと考えております。 なお、回答期限についてお願いがございます。10月末日までにご回答申し上げる所存にございますので、ご了承いただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。 以上、用件のみ申し上げます。 末筆ながら、貴会のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 敬具 新風舎 広報室 〒107-0062 東京都港区南青山2-22-17 TEL: 03-3568-4800 Fax: 03-3568-0757 E-mail: info@pub.co.jp ▲
by nakusukai
| 2007-10-18 13:19
| 質問書と回答
インターネット新聞JANJANが、共同出版・協力出版・自費出版問題として特集記事を掲載しました。記事のリンク先をたどることで、この問題に関するいろいろな情報が得られます。
また、当会が10月1日付けで新風舎・文芸社へ送付した公開質問書についてもJANJANで紹介されました。 大手自費出版社2社に公開質問状 共同出版・自費出版の被害をなくす会 ▲
by nakusukai
| 2007-10-07 15:14
| リンク集
さまざまな疑問が寄せられている新風舎と文芸社に対し、2007年10月1日付けで公開質問書を送付し、文書による回答を求めました。
新聞や雑誌に大きな広告を掲載し、多数の本を出版してきた共同出版社の大手として、誠実な回答を期待しています。 新風舎への質問書 文芸社への質問書 ▲
by nakusukai
| 2007-10-03 22:51
| 活動
2007年10月1日
株式会社新風舎 代表取締役社長 松崎義行 様 共同出版・自費出版の被害をなくす会 代表 松田まゆみ 公開質問書 共同出版・協力出版などと称して行われている出版形態では、しばしば著者とトラブルとなり、被害者意識をもっている方、あるいはこのような出版形態に疑問を抱いている方が少なくありません。私たち「共同出版・自費出版の被害をなくす会」は、このような出版形態での被害者をなくすことを目的に活動しているNGOです。 当会は、貴社の「共同出版」あるいは「出版実現プログラム」において、著者としばしばトラブルが生じており、集団訴訟にまで発展している事態を大変憂慮しております。このようなトラブルは、貴社の説明が不適切であったために著者を錯誤させていること、著者の負担する費用が不明瞭であること、あるいはシステムに問題があることによって生じていると考えています。 私たちは、貴社が著者の疑問を真摯に受け止め、適正な出版形態を再構築することでトラブルや批判をなくす努力をし、信頼回復をしていただきたいと望んでおります。そこで問題点を明瞭にし、問題解決に向けての糸口を見出すために、以下の質問にご回答くださいますよう、お願い申し上げます。お忙しいところ大変恐縮ですが、10月25日までに書面にてご回答ください。 なお、この質問書と貴社からの回答は公開とし、当会のサイトに掲載させていただくことを申し添えます。 記 1.著者の負担する費用について (1)貴社は、昨年までの新聞広告において、「出版実現プログラム」での著者の負担費用は「制作費」であると明記しています。朝日新聞のフロントライナー(2006年10月7日付け)でも、松崎社長みずから、「印刷や装丁などの制作費を著者が、販売や宣伝費などはこちらが持ちます」と説明しています。また、読売新聞(2005年8月3日付け)でも同様の説明をしています。 しかし、貴社が著者に請求している「制作費」は印刷や製本、組版またはDTP、編集やデザインなどの原価を上回り、結果的に著者が販売や宣伝費も負担しているものと推測されます。例えば、貴社がオリーブさん(ハンドルネーム)に提示した見積金額の内訳が、インターネット上で公開されています(My News Japan 2007年2月6日)。それによると、約250万円(消費税を含む)の制作費のうち、企画費17万8000円、管理費11万9000円となっていますが、企画費に17万8000円もかかるとは信じがたいことです。「企画費の内容の内訳」「管理費の内訳」について説明してください。 また、貴社が「制作費」として著者に提示している費用は、原価として算出しているものなのか、それとも請負契約のように利益を加算したものなのか、明確に説明してください。 (2)著者に提示している費用が原価ではない場合、貴社が実質的に何ら費用負担しておらず著者から利益を得ている疑いがもたれます。商業出版形態の契約の場合、出版社は本の販売収益を得ることを前提としているのですから、著者から利益を得ているのであればきわめて不公正な取引といえます。貴社は実質的に費用負担をしているのか、あるいはしていないのか、説明してください。 (3)著者に提示している費用が原価ではなく、利益を加算している場合、制作費、すなわち自社の商品の生産費用に利益を加算することが正当と考える理由を説明してください。 (4)貴社はこれまで著者の負担金は「制作費」であると説明してきましたが、契約書にはそれが明記されていません。新聞広告などでは「制作費」と明記しながら、契約書には著者の負担金が「制作費」であることを明記していない理由について、説明してください。 (5)最近の新聞広告では、著者の負担金は「制作費」ではなく「出版費用」となっていますが、これらの違いについて説明してください。 2.呼称、負担費用の変更について 貴社は、これまで「共同出版」という呼称を用い、著者の方たちに出版社と著者が出版費用を分担しているかのように説明してきましたが、その後「出版実現プログラム」と呼称を変えました。契約形態・内容はほとんど変わっていないにも関わらず、名称を変更した理由を説明してください。 3.契約形態の説明について 貴社は、著者を勧誘する際、「全国の書店で販売する点が自費出版とは異なる」との説明をしているようですが、貴社の契約書は通常の自費出版のような制作請負・販売委託契約ではありません。書籍の所有権も貴社にあり、増刷時からは著者に印税が支払われる契約ですから、事業者同士の出版権設定の契約です。このように、自費出版とは契約形態が異なることを著者には説明していなかったようですが、その理由を説明してください。 4.契約書の「依頼」という表現について 貴社の契約書の第一条では、「標記の著作物(以下本著作物という)の出版を乙に依頼する」と書かれています。貴社の契約は出版委託契約ではありませんが、このような表現は著者に委託契約だと錯誤させる可能性があり不適切です。現に、貴社を提訴した原告の方たちは、委託契約だと錯誤しているようです。この点について、貴社の見解を説明してください。 5.出版形態ごとの出版点数について 貴社は企画出版・共同出版・自費出版の3種の出版形態を提示していますが、それぞれの年間の出版点数について教えてください。 6.増刷率について 貴社の共同出版の増刷率を教えてください。また、増刷する場合、著者が本を買い取る、あるいは費用を負担する条件をつける場合があるのかどうか、あるならその割合も教えてください。 7.流通・販売の説明について 貴社が本年7月に著者に送付した「小社に関する報道について」という文書によると、貴社は、文庫以外の書籍については取次を通じた委託配本を行っておらず、書店からの注文にのみ対応しているとのことです。書店に置かれないという著者からの苦情は、書店での販売を謳いながら、このような書籍の流通システムについて著者に十分な説明をしていなかったことに起因すると考えられますが、これまで著者にきちんと説明していなかった理由を明らかにしてください。 8.販売努力について 貴社はアマチュアの著者に対し、書店での販売を謳って共同出版の契約を勧誘しています。出版権の設定契約をし「販売」を売りにする以上は、商品として価値のある本づくりをして販売努力をするのが筋です。ところが、貴社の編集や校正は杜撰との指摘があるうえ、積極的に販売しようとする姿勢がほとんど見られません。自社の商品の販売に力を入れない理由を説明してください。 9.出版賞について 貴社は、多数の出版賞を募集し、選に漏れた方ほぼ全員に作品を高く評価して「共同出版」(出版実現プログラム)を推奨してきました。しかし、このような方法は「賞」を利用した顧客集めとして多くの非難を浴びています。貴社はこのようなやり方が問題ないと考えているのかどうか、見解を説明してください。 10.原稿の審査について 出版賞に応募した場合と、それ以外の場合について、原稿の審査過程や審査方法を具体的に説明してください。 11.今後の経営方針について 貴社にマスコミによる批判が集中し、万一倒産するようなことにでもなれば、費用を支払ったにもかかわらず本が出版されない被害者が多数出てしまうことが懸念されます。また、貴社から本を出版された方々は、これからも、本を継続して販売してもらうことを望んでいることでしょう。このような事態を避けるために、貴社は速やかに疑問視されているさまざまな事柄について責任ある対応をし、必要に応じて謝罪および軌道修正を行うべきです。この点について貴社の見解をお聞かせください。 ▲
by nakusukai
| 2007-10-03 22:44
| 質問書と回答
2007年10月1日
株式会社文芸社 代表取締役 瓜谷綱延 様 共同出版・自費出版の被害をなくす会 代表 松田まゆみ 公開質問書 共同出版・協力出版などと称して行われている出版形態では、しばしば著者とトラブルとなり、被害者意識をもっている方、あるいはこのような出版形態に疑問を抱いている方が少なくありません。私たち「共同出版・自費出版の被害をなくす会」は、このような出版形態での被害者をなくすことを目的に活動しているNGOです。 当会は、貴社の「協力出版」(流通出版)において、著者としばしばトラブルが生じている事態を大変憂慮しております。このようなトラブルは、貴社の説明が不適切であったために著者を錯誤させていること、著者の負担する費用が不明瞭であること、あるいはシステムに問題があることによって生じていると考えています。 私たちは、貴社が著者の疑問を真摯に受け止め、適正な出版形態を再構築することでトラブルや批判をなくす努力をし、信頼回復をしていただきたいと望んでおります。そこで問題点を明瞭にし、問題解決に向けての糸口を見出すために、以下の質問にご回答くださいますよう、お願い申し上げます。お忙しいところ大変恐縮ですが、10月25日までに書面にてご回答ください。 なお、この質問書と貴社からの回答は公開とし、当会のサイトに掲載させていただくことを申し添えます。 記 1.著者の負担する費用について (1)貴社は、かつての契約書において、出版社と著者が費用を分担することを明記し、また著者の負担費用は「制作費」と説明していました。その後の契約書においても、著者の負担する費用は制作・宣伝・販売の費用(出版費用)の一部であると理解できる記述となっています。しかし、貴社が著者に請求している「制作費」には貴社の利益が加算されていることを貴社自らが認めています。貴社の商品を生産し、売上金も貴社が得ているのですから、制作費すなわち生産費用は原価計算とすべきですが、利益を加えていても正当であるという理由を説明してください。 (2)著者に提示している費用が原価ではない以上、貴社が実質的に何ら費用負担しておらず著者から利益を得ている疑いがもたれます。商業出版形態の契約の場合、出版社は本の販売収益を得ることを前提としているのですから、著者から利益を得ているのであればきわめて不公正な取引といえます。貴社は実質的に費用負担をしているのか、あるいはしていないのか、説明してください。 (3)貴社は、過去には著者の負担金が「制作費」であると説明してきましたが、契約書では「本著作物の初版発行にあたりその制作・販売・宣伝に要する費用は甲乙双方の分担」となっており、「制作費」であることが明記されていませんでした。契約書に「制作費」と記載しなかった理由を説明してください。 (4)最近の契約書では、「本著作物の初版第一刷発行にあたりその制作・販売・宣伝に要する出版費用のうち、甲は本条別表の通りの金額(以下、「出版委託金」と称する)を負担する」となっています。この記述は、過去の契約書同様、文芸社と著者が費用を分担すると理解できるものであり、別表の金額は出版費用の一部といえます。以前の契約書と同じ意味でありながら、記述を変えた理由を説明してください。また、現在の著者の負担金は「制作費」として算出したものなのか、あるいは宣伝や販売の費用も含めた「出版費用の一部」なのか、説明してください。 (5)1997年の高村明子さんの契約では、企画営業の人件費・営業費・広告費・会社維持費(必要利益)・印税は貴社の負担であり、原則として書籍販売によってまかなうとしています。会社維持費は必要利益として書籍販売でまかなうという考え方は、現在でも変わっていないのかどうか説明してください。 2.呼称、負担費用の変更について 貴社は、これまで「協力出版」あるいは「共同出版」という呼称を用い、著者の方たちに出版社と著者が出版費用を分担し、著者負担金は制作費であると説明してきました。最近では「流通出版」と呼称を変えていますが、契約内容は基本的に変わっていないのに、名称を変更した理由を説明してください。 3.契約形態の説明について 貴社は、著者を勧誘する際、「全国の書店で販売する点が自費出版とは異なる」との説明をしているようですが、貴社の契約書は通常の自費出版のような制作請負・販売委託契約ではありません。書籍の所有権も貴社にあり、著者に印税が支払われる契約ですから、事業者同士の出版権設定の契約です。このような契約形態の違いについて、著者には説明していないようですが、その理由を説明してください。 4.契約書の「出版委託金」という表現について 貴社は過去の契約書では著者の負担金を「協力負担金」と称していましたが、後に「出版費用」と変更し、最近では「出版委託金」と称しています。貴社の契約は出版委託契約ではありませんが、このような表現をつかうことにより著者が委託契約と錯誤する可能性があります。「協力負担金」のほうが適切だと考えますが、負担金についての表現を変えた理由を説明してください。 5.出版形態ごとの出版点数について 貴社は企画出版・協力出版(流通出版)・自費出版の3種の出版形態を提示していますが、それぞれの年間の出版点数について教えてください。 6.増刷率について 貴社の協力出版(流通出版)の増刷率を教えてください。また、増刷する場合、著者が本を買い取る、あるいは費用を負担する条件をつける場合があるなら、その割合も教えてください。 7.流通・販売について 貴社は、全国300の提携書店に一定期間本を陳列するとしています。過去10年間の年ごとの提携書店数を教えてください。また、この方式の場合、取次を通して配本しているのか否か教えてください。 8.委託配本について 貴社は、提携書店に有料で棚を借り、専用の棚で書籍を1ヶ月間陳列する方法をとっていますが、このような販売方法ではほとんど売れないことは、貴社もよく理解されていると思います。貴社が、本当に多くの本を末永く売りたいのであれば、販売に適した作品を選んで十分な編集を行い、商業出版に劣らない上質の本をつくり、委託配本をするのが筋であると考えます。この点について、貴社の見解を説明してください。 9.出版賞について 貴社は、出版賞を設け、選に漏れた方ほぼ全員に作品を高く評価して「協力出版」を推奨してきたと推察されます。しかし、このような方法は「賞」を利用した顧客集めとして非難を浴びています。貴社はこのようなやり方が問題ないと考えているのかどうか、見解を説明してください。 10.原稿の審査について 出版賞に応募した場合と、それ以外の場合について、原稿の審査過程や審査方法を具体的に説明してください。 11.売上還元タイプについて 貴社は、著者に印税を支払うタイプのほかに、「売上還元タイプ」が選択できるとしています。両者の相違点(契約や見積金額の算出方法など)について、具体的に説明してください。 12.今後の経営方針について 貴社は、過去に著者から提訴されるなど、これまで著者とトラブルを重ね、批判の対象になってきました。貴社が信頼回復されるために、速やかに疑問視されているさまざまな事柄について責任ある対応をし、必要に応じて謝罪および軌道修正を行うべきです。この点について貴社の見解をお聞かせください。 ▲
by nakusukai
| 2007-10-03 22:36
| 質問書と回答
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