Q 自費出版の費用はどのようにして見積もられているのでしょうか?
A 制作請負・販売委託契約を交わす純粋な自費出版の場合、著作権者が出版費用の全額を負担して、著作権者に所有権のある本を制作サービス会社に依頼してつくってもらいます。印刷・製本費、編集費、組版費(DTP編集費)、デザイン費、送料などの諸経費のほかに会社の維持管理費や営業費も含まれた費用が出版費用として見積もられます。請負契約ですから、実費費用のほかに会社の利益が加算されているのです。自費出版を請負っている会社では、ページ数や版型、部数別に料金の一覧表を作成しているところも少なくありません。編集費やデザイン費などはオプションになっていることもあります。 書店などに流通させる場合は、販売分を出版社が預かり売上金を著者に支払うことになります。流通させるための費用や保管経費なども著者負担になります。出版社にとってのお客さんはあくまでも著者です。 販売を前提に充実した編集を行う場合は費用も高くなります。また会社の規模や印刷方法などによっても費用は異なってきます。安ければいいというわけではありません。サービスの内容をよく確認し、納得したうえで契約しましょう。 Q 商業出版を行っている出版社は、すべての出版費用を会社が負担しているのですか? A 商業出版は、出版社が販売を目的に自社の商品として本を制作・流通させ、売上金を出版社が得る業態ですから、通常は出版社が出版費用の全額を負担します。しかし、専門書やアマチュアの書いた本などのようにあまり販売が期待できない本の場合は、リスクを小さくするために著者に買い取りを求めたり出版費用の一部を負担してもらうという条件をつけることがあります。そのような条件がある場合でも、出版社が実際に費用の一部を負担してリスクを負い、本の売上によって利益を得ているのであれば問題はないと考えます。 なお、小さな出版社や地方出版社などでは、ひとつの会社で商業出版と自費出版の両方を行っていることもあります。 Q 共同出版の費用はどのように見積もられているのでしょうか? A 共同出版(自費出版と称することもある)の多くは、著者に出版費用(一部または全額)を負担してもらう条件で、商業出版と同様の契約(出版権設定の契約)を交わします。出版社に所有権のある本をつくるのですからその費用は出版社が実際に負担する費用(原価)であるべきと考えますが、見積もりの根拠が不透明で、原価に多額の利益を上乗せしている場合もあるようです。たとえば印刷・製本を著者に負担してもらうという場合でも、実際に印刷会社に支払っている費用(原価)以上を著者に請求している場合があります。 原価に多額の利益を上乗せした場合、出版社はまったく費用を負担せず、著者から利益を得ることができますし、本の売上金も出版社のものになります。本が売れなくても利益がでるのであれば、内容の良し悪しに関わらず誰にでも出版を勧めることができます。 著者の負担金について「出版費用」「出版委託金」などと曖昧な表現を使用している出版社もあるようですが、請求された見積費用は何の費用として算出されているのか、それは原価なのか、出版社は費用を負担するのかなど、書面で確認することをお勧めします。 Q 印税が支払われるとのことですが、印税とは何のことでしょうか? A 印税とは著作権使用料のことです。出版社が自社の商品として本を出版する場合(商業出版)、他人の著作物を勝手に使用することはできません。そこで著者がもっている出版権(複製と頒布の権利)を出版社に設定する必要があります。出版社は一時的に出版権を独占することによって本を制作し、その売上金を得ることができます。出版権を出版社に独占させる見返りとして著者に印税が支払われます。 印税は一般的には本の定価の10パーセント前後とされていますが、印税なしということもあります。印税は刷り部数に対して払う場合と、売れた部数に対して払う場合があります。 共同出版などで著者が出版社の利益を含む出版費用を支払っている場合、著者が支払った費用から印税がバックされるという見方もできます。 なお、制作請負・販売委託契約を交わす純粋な自費出版でも出版権を出版社に設定することがありますが、制作請負契約であれば本の所有権は著者にあるはずですから、著者には印税ではなく売上金が支払われます。 Q 著者の負担する費用は初版の出版費用だけで、増刷からは出版社負担だと説明されました。増刷が無料なら増刷費も著者負担になる普通の自費出版よりお得だと思いますが。 A 出版社が費用を負担して増刷する以上、増刷の費用が回収できると見込めなければ簡単には増刷しません。増刷する場合の条件について確認しましょう。出版社側があまり売れないと判断しているのに著者が増刷を希望した場合、買い取りなどの条件がつくこともあり得ます。 初版の出版費用の全額を著者が負担している共同出版の場合、出版社は初版の完売によって本の売上金を得ているのですから、その売上純益より増刷費用のほうが安ければ、実質的には増刷費を負担しないといえます。まったくリスクなく増刷できるということです。 なお、ある程度の販売が見込める本であれば、初版を少なめにして増刷を重ねるよりも、初版部数を多めにしたほうが一冊あたりの単価は安くなります。このために、商業出版では初版で2000~3000部は刷るのが普通です。初版が数百部程度しか提案されないのであれば、出版社ははじめから増刷を想定していないと考えたほうがいいかもしれません。 Q 共同出版では出版社が広告や宣伝をしてくれると思っていたのですが、有料で新聞広告を出さないかとの勧誘を受けました。著者が広告費の負担をするのが普通なのでしょうか? A どのような広告をし、その費用は誰が負担するのかを契約時にきちんと確認しましょう。広告費はオプションになっている場合もあります。また新聞社が公表している広告掲載料より出版社が実際に支払っている広告掲載料の方が安い場合があります。倒産した新風舎の場合、オプションの広告掲載を勧め、その差額で利益を得ていたと考えられます。 Q 印刷費は印刷方法や部数よって幅があるのでしょうか? A 書籍の印刷は、通常はオフセット印刷または軽オフセット印刷です。最近ではDTP(編集ソフト)でレイアウトした完全データを利用して版をつくることが一般的になりました。軽オフセット印刷であればデータを印画紙や紙に出力して版をつくりますが、大部数の印刷には向きません。オフセット印刷の場合、従来はフイルムから刷版を作っていましたが、最近はデータから直接刷版をつくるCTP印刷が普及してコストも安くなっています。 また、刷版をつくらず必要部数に応じて印刷・製本するオンデマンド印刷という方式もありますが、印刷の質は劣りますし製本にも難点があります。部数が多くなると割高になりますので小部数の出版に向きます。 モノクロで文字が主体の本と、カラー画像が主体の写真集や絵本では費用はまったく違ってきます。使用する紙の質や版型によっても費用は変わります。印刷方法にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、安ければいいということにはなりません。出版物の内容や目的、印刷部数に合った印刷方式にするのがベストです。どのような印刷方法をとるのか、出版社に確認するといいでしょう。 また同じページ数の場合、部数によって用紙や製本の費用は変わってきますが、刷版の費用は変わりません。多く刷ったほうが一冊の単価は安くなります。 *当会では、勧誘された経験談、出版して疑問に思ったこと、失敗談などを募集しています。これから出版を考えている方が悪質商法に惑わされず納得できる出版をするために、ぜひ情報をお寄せください。当会のメールアドレス nakusukai@excite.co.jp
by nakusukai
| 2008-07-27 17:27
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