共同出版・自費出版の被害をなくす会御中
2007年10月30日 株式会社 新風舎 公開質問書への回答 小社は、自由な出版環境や表現の場を用意して、多くの人に≪表現の愉しみ≫を知ってもらうこと、表現によって人がつながり、この世界を楽しんでもらうことを目指して、出版業と出版サービス業を主軸とした企業活動を行なっております。 創業から現在までの間に、10,000点以上の書籍を刊行し、そのほとんどの著者の方と現在も契約関係にあり、お付き合いを継続しております。 そのような中、本年7月4日に、小社で出版した著者を含む4名の方が小社に対して損害賠償請求を起こしました。この事実については厳粛に受け止め、円満に解決することを目指しているところでございます。小社に対する提訴によって、他の著者の方々にご心配やご迷惑をおかけしたことを文書にてお詫びいたしましたが、提訴に付随するマスコミ報道の中には、事実誤認に基づく内容も多く、それによって小社事業や表現活動をする著者に対する多くの誤解を生じたことは、誠に遺憾に思っております。 この機会に、改めて小社事業に関して皆様にご理解を深めていただければと考え、以下のとおり、ご説明いたします。 ■質問への回答■ 1.著者の負担する費用について (1)貴社は、昨年までの新聞広告において、「出版実現プログラム」での著者の負担費用は「制作費」であると明記しています。朝日新聞のフロントライナー(2006年10月7日付け)でも、松崎社長みずから、「印刷や装丁などの制作費を著者が、販売や宣伝費などはこちらが持ちます」と説明しています。また、読売新聞(2005年8月3日付け)でも同様の説明をしています。 しかし、貴社が著者に請求している「制作費」は印刷や製本、組版またはDTP、編集やデザインなどの原価を上回り、結果的に著者が販売や宣伝費も負担しているものと推測されます。例えば、貴社がオリーブさん(ハンドルネーム)に提示した見積金額の内訳が、インターネット上で公開されています(My News Japan 2007年2月6日)。それによると、約250万円(消費税を含む)の制作費のうち、企画費17万8000円、管理費11万9000円となっていますが、企画費に17万8000円もかかるとは信じがたいことです。「企画費の内容の内訳」「管理費の内訳」について説明してください。 また、貴社が「制作費」として著者に提示している費用は、原価として算出しているものなのか、それとも請負契約のように利益を加算したものなのか、明確に説明してください。 (2)著者に提示している費用が原価ではない場合、貴社が実質的に何ら費用負担しておらず著者から利益を得ている疑いがもたれます。商業出版形態の契約の場合、出版社は本の販売収益を得ることを前提としているのですから、著者から利益を得ているのであればきわめて不公正な取引といえます。貴社は実質的に費用負担をしているのか、あるいはしていないのか、説明してください。 (3)著者に提示している費用が原価ではなく、利益を加算している場合、制作費、すなわち自社の商品の生産費用に利益を加算することが正当と考える理由を説明してください。 (4)貴社はこれまで著者の負担金は「制作費」であると説明してきましたが、契約書にはそれが明記されていません。新聞広告などでは「制作費」と明記しながら、契約書には著者の負担金が「制作費」であることを明記していない理由について、説明してください。 (5)最近の新聞広告では、著者の負担金は「制作費」ではなく「出版費用」となっていますが、これらの違いについて説明してください。 (1)~(5)についてまとめてお答えします。 小社の出版実現プログラムにおいて、著者の方に負担していただく費用については、現在、「出版費用および販促オプション費用」とご説明しております。説明文言変更の理由と費用に関してご説明いたします。 旧来の「自費出版」は、印刷・製本し、全冊を発注者にお渡しして業務完了というものでした。その形態においては、出版費用=書籍制作費であり、出版とは称しますが、本の形に作る、というところで終わりでした。 しかしながら、小社が提示する「出版」は、書籍の制作のみならず、その後の宣伝、販売、在庫管理等々まで含んだ総合的なものですので、著者にご負担いただく費用を端的に説明する際、その都度、わかりやすさを考慮して、「出版費用の一部」「制作費」などの表現を用いた経緯がございます。現在、「出版費用」とお伝えしているのは、「制作費」と言った場合に、著者の方が「印刷・製本」だけをイメージしがちであることや、「出版費用」という言い方をした方が、実際に行っている制作業務全般をイメージしていただきやすいとの判断からです。説明文言については今後も変わる可能性がありますが、いずれにしても、わかりやすい説明を心がけていきたいと考えています。 また、制作費については、組版、DTP、編集、デザインなど、編集担当者の人件費や外部業者へ発注する価格と、印刷・製本の費用、管理部門を含めた人件費など、制作に関わる一切を含んだものです。一点一点の書籍について最終的に事実上の利益がどれくらい出るか、または出ないか、ということはひじょうに算出が困難ですが、総じて言えば、ほとんど利益は出ておりません。ただ、企業運営として、出版サービス業においても、著者にご提示する費用に利益を計上するのが、むしろ健全であり、正当なことと思われます。 費用の明細については、外部業者への発注金額が業者間の取り決めにより公表できない性質のものであることなど、開示できない情報を含むなどの理由から、正確なものをお出しすることが難しいため、現在はお出ししておりません。以前には、企画費・管理費などに分けてご説明したことがありますが、それぞれが、明細費用の積み上げとしてお出ししている数字というわけではなく、小社における出版形態の企画開発費や管理費の割合をご提示金額の総額の中でわかりやすく提示したものです。事実上は、費用のほとんどは上記のように制作費として使わせていただいています。 また、小社は実質的に費用を負担しています。書籍の流通体制を維持し、長期にわたり在庫管理をしていくだけでも、多額の費用がかかります。書籍の営業・販売は、当然営業経費とのバランスの中で行っていきますが、在庫を抱えたまま売らずにいれば経費はかさむ一方です。また、営業によって書店から注文を取り、取次(書籍の販売会社、卸商)を通して出荷しても、出版流通の特性上、結果的に売れずに返品されてくる場合もあり、その返品手数料も小社が負担しています。誤解を懼れずに言えば、売れ筋書籍の販売利益が小部数書籍に関する多様な営業と長期販売を支えていると言っても過言ではありません。 著者に負担していただく費用が、概して100~200万円という金額であるため、印刷所における印刷・製本の費用と単純比較して、膨大な利益を生んでいるとの誤解につながっているのかもしれませんが、実際にはそのようなことはありません。 そもそも私どもは、出版サービスと書籍販売とで利益を生み出し、さらに表現の場を広めるために投資し、結果として、表現者に楽しんでいただける環境を作ることを目指しています。むしろ、さらに企業努力して経費節減にも努め、利益を生む努力をしていかねばならないと考えています。 2.呼称、負担費用説明の変更について 貴社は、これまで「共同出版」という呼称を用い、著者の方たちに出版社と著者が出版費用を分担しているかのように説明してきましたが、その後「出版実現プログラム」と呼称を変えました。契約形態・内容はほとんど変わっていないにも関わらず、名称を変更した理由を説明してください。 著者に負担していただく費用の説明の言葉が変遷してきているのは、前述のとおり、随時、よりわかりやすい説明を考慮してきた結果です。 また、「共同出版」という呼称は、出版が著者と出版社との共同作業であることや、書籍制作から刊行後の長きにわたるまで著者と出版社として対等の立場で歩んでいきたいという理念、また実際に、小社も費用を負担しリスクを負うことなどを総合的に表現するものとして、約2年前まで使用していました。これを現在の「出版実現プログラム」に変更した背景には、他社で同じような呼称を用いながらも、似て非なる出版形態がいくつか出てきたため、混同や誤解を防ぎ差別化を図る目的がありましたが、この呼称が意図するところもまた、小社の理念に根ざしています。小社が目指しているのは、本を出して終わりではなく、出版を実現すると同時に出版によってその後の著者の活動や人とのつながりが広がることであり、もちろん、それがすべての人に約束できるというわけではありませんが、理想を言葉にして表し実現に向かうべく、「出版実現プログラム」と名づけました。 3.契約形態の説明について 貴社は、著者を勧誘する際、「全国の書店で販売する点が自費出版とは異なる」との説明をしているようですが、貴社の契約書は通常の自費出版のような制作請負・販売委託契約ではありません。書籍の所有権も貴社にあり、増刷時からは著者に印税が支払われる契約ですから、事業者同士の出版権設定の契約です。このように、自費出版とは契約形態が異なることを著者には説明していなかったようですが、その理由を説明してください。 小社が提示している出版のあり方と、小社が著者と取り結んでいる出版契約のかたちとに齟齬はないと考えておりますので、契約の「形態」について著者にご説明する必要があるとの認識はございませんし、貴会が主張されるように、「出版契約」の形態であることに不都合や問題があるとは考えておりません。むしろ、大切なことは、契約の内容であり、この契約を取り結ぶことによって生じる相互の権利関係や小社が個々の著作者に対して提供する業務は何か、を明確にすることであると考えます。それらは、個別の企画書や出版申込書にて明示してお伝えしております。企画書や出版申込書は提供する役務内容を明らかにするためのもの、契約書は出版権(複製権)、著作権、頒布権などの権利関係を明らかにするためのものと捉え、総合的に判断のうえ、契約していただいております。 ただ、より深くご理解をいただけるようなわかりやすい提案や説明については、今後も研究・開発を重ねてまいりたいと考えています。 (つづく)
by nakusukai
| 2007-11-04 20:22
| 質問書と回答
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