<   2009年 12月 ( 1 )   > この月の画像一覧

消費者庁に要望書を送付

 出版に関する知識のないアマチュアの著者に、出版社側に一方的に有利な契約をさせる悪質な出版商法が依然として続けられています。そこで、消費者庁に以下の要望書を送付しました。

           ********************

                                        2009年12月5日
消費者庁担当大臣 福島みずほ 様

                            共同出版・自費出版の被害をなくす会
                            代表  松田まゆみ

         悪質な共同出版・自費出版商法への対応に関する要望書

 当会は、共同出版あるいは自費出版などと称して行なわれている悪質な出版商法の被害をなくすことを目的に設立したNGOです。
 近年、共同出版・協力出版・流通出版・自費出版などの呼称(出版形態の呼称は出版社によって異なるが、以下、共同出版という呼称を使用)で流通を謳い、アマチュアの著者を錯誤させて出版社に一方的に有利な出版契約をさせる悪質な商法が横行しています。この商法については、インターネット上などでもさまざまな問題点が指摘されています。
 2006年には共同出版を行なっていた碧天舎が、2008年1月には新風舎が倒産し、自費出版業界に大きな波紋を投げかけました。しかし、同様の出版商法を行っている出版社は依然複数あり、問題はなんら解決されていません。当会では、2007年10月1日に共同出版大手でトラブルを多発させた新風舎と文芸社に質問書を送付しました。また文芸社には2008年3月10日にも制作費についての質問を送付しました。新風舎からは回答があったものの倒産、文芸社は2つの質問書に無回答のまま問題の多い商法を続けています。
 出版についての知識がない著者の中には、こうした出版商法の問題点を認識できない方もいますし、被害者意識があっても解決が困難なために泣き寝入りせざるを得ない方が少なくありません。また、新聞やテレビなどのマスコミは悪質出版商法の問題点をほとんど報道しないどころか、広告を掲載することで被害の拡大に加担しているのが実情です。当会では新風舎や文芸社などの原稿募集の広告を掲載してきた大手新聞社に対し質問書を送付しましたが、マスコミは悪質商法との認識を持たず、なんら問題点を把握していないことが浮き彫りになりました。
 そこで悪質出版商法の問題点をご理解いただき、実態調査や業者への指導、公正取引委員会への通告など、適切な対応をしていただきたくお願い申し上げます。なお、悪質な共同出版商法が広まった経緯などについては添付資料を参照してください。

共同出版商法の問題点

1.不当な費用請求
 共同出版では商業出版と同様に、出版社の商品(本の所有権は出版社にある)として本を制作・流通する際、出版社に出版権の設定をすることで著者に印税を支払う契約を交わすのが一般的です。純粋な商業出版と異なるのは、初版の出版費用の一部(全額の場合もある)を著者に負担してもらい、著者には出版した本の一部(出版部数の一割程度が多い)が贈呈されるという点です。本の制作サービスや販売サービスに対して報酬を支払う自費出版(制作請負・販売委託契約)とは、契約形態が基本的に異なります。
 出版社が本当に出版費用の一部を負担しているのであれば、大きな問題があるとは考えません。しかし、悪質な出版社では著者に請求する費用が不透明で、費用の分担を謳いながら実際には出版社は全く費用負担しておらず、多額の利益を水増しした費用を請求していると考えられます(著者が出版費用を全額負担するとしている場合でも、過大な費用を請求していると考えられます)。悪質な出版社の場合、本をすべて自分で購入した場合よりも著者への請求金額のほうが高くなることから、一冊も売れなくても出版社は利益が出ていると判断できます。(適正な負担費用については以下のサイトが参考になります。http://www.kobeport.net/news/kyodo.html)。すなわち、契約に反する不当な請求をしているといえます。
 出版社はたとえ一冊も本が売れなくても利益を得られるために、印税も著者が支払った費用からバックされていると考えられます。

2.著者を錯誤させる勧誘
 アマチュアの作品は玉石混交で商品としてのレベルに達していないものが多く、大半は販売が期待できません。それを知りながら作品のレベルに関わらず高く評価し、「埋もれさせるのは惜しい作品」「審査の結果高く評価された」などといって、著者に売れるかもしれないという期待を抱かせたうえで、販売前提の共同出版を勧める場合があります。
 また本の制作や販売を請け負うサービスの契約ではないにも関わらず、「出版委託金」などという不適切な表現や説明によって委託契約であるかのように錯誤させている場合があります。著者がそのように錯誤すると、多額の利益を加算した費用請求を不当と認識できません。
 なお、本の所有権は著者にあるとしながら、著者に売上金ではなく印税(著作権使用料)支払うという理解しがたい契約内容になっている場合もあります。

3.リスクを説明しない勧誘
 本を流通させるためにはある程度の部数が必要ですので、少なくても500部、多いと1000部以上を提案されます。しかし、アマチュアの本の大半はほとんど売れないというのが実態ですし、1.で説明したように、一冊も売れなくても出版社は利益を得られる費用を請求しているために、出版社は販売努力をせず、多くの場合、大半の本が売れ残ることになります。また、本の所有権や頒布の権利が出版社にあるために、出版社が自由に配布したり断裁処分することもできます。著者は出版費用の全額以上を支払っていながら、実売部数や処分した部数を知ることもできません。売れ残った本を著者に引き渡す場合もあるようですが、大量の本を引き取っても保管や処理に困る場合も少なくありません。しかし、出版社はこのような著者のリスクを説明せずに勧誘します。

4.コンテストを利用した著者集め
 コンテストや出版賞などを企画し、新聞広告やホームページなどで宣伝して原稿を集め、選に漏れた著者にも出版社に有利な有料の出版形態を勧める出版社があります。コンテストや出版賞を利用した顧客集めといえます。

5.クレジットによる契約者の獲得
 請求費用が高額なために契約を躊躇する著者にクレジットでの支払いを持ちかけ、強引に契約に持ち込む出版社があります。本が出版され、ほとんど売れないことがわかっても、何年にもわたって返済を続けなければなりません。

 以上のように、著者を錯誤させ、出版社の出版事業において初版の出版費用の一部(または全額)を著者に負担してもらうとしながら、実際には全額を超える過大な請求をすることで出版社はなんら費用を負担せずリスクも負わないという、全面的に著者に依存した詐欺的商法です。この結果、著者は売れる見込の少ない本を過剰に作らされることになります。しかも、著者は実際の出版費用、出版社の負担する費用、実売部数などのデータを知ることができないために不当な費用請求を立証できません。著者が水増し請求に抗議し返還を求めても応じず、著者は非常に不利な立場に置かれて泣き寝入りせざるをえない状況にあります。圧倒的に優位な立場を利用した不公正な取引契約であり、優越的地位の乱用ともいえます。
[PR]
by nakusukai | 2009-12-08 13:10 | 活動