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国民生活センターが注意喚起

 独立行政法人国民生活センターが、11月9日に自費出版トラブルの未然防止・拡大防止を目的として、「自費出版に関する相談が増加 ~作品をほめられても、安易に契約しない~」と題して報道発表を行いました。

 上記のサイトから報告書がダウンロードできます。

 報告書によると、全国消費生活情報ネットワーク・システムには、2002年度以降に706件の相談が寄せられており、今年度は9月末日までに130件の相談が寄せられているとのことで、コンテストをきっかけにした勧誘や強引な勧誘、不明確な金額など、トラブル事例が紹介されています。

 問題点として
(1)消費者の感情に乗じて、契約を勧め、契約に至るようなケースがある
(2)契約時に金額の内訳が不明瞭な場合がある
(3)約束どおりに本が仕上がらない
(4)契約の履行状況が確認できない
の4点を指摘しています。

 また、著者へのアドバイスとして
(1)簡単に本が売れるわけではないので、冷静な気持ちで考えること
(2)複数の事業者から見積をとり、金額や契約内容を比較する
(3)契約内容が履行されているかどうか、早めに事業者に確認する
(4)最寄りの消費生活センターに相談する
としています。
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by nakusukai | 2007-11-19 19:58 | 情報コーナー

新風舎の回答への見解

 新風舎の回答は、共同出版(出版実現プログラム)とは、商業出版同様、出版社が売上金を得ることを目的として出版社の商品をつくる出版権の設定契約をするが、それは著者の本をつくって流通させるというサービスを提供するものであり、制作費は原価ではなく利益を加算していても正当というものです。これは、サービス契約(請負契約)ではない商業出版の契約書を用いながら、著者へのサービスだとする矛盾した主張であり、商業出版と自費出版(制作・販売サービス)を混同させることで、著者を錯誤させる商法といえます。

 出版業(商業出版)というのは出版社が書籍を製造、販売して売上金を得る事業であり、本を購入する読者が顧客です。著者と締結する出版契約は、出版社が自社の出版事業を行うために、出版社に出版権(複製と頒布の権利)を設定するという財産権の取引契約であり、著者の本の制作・販売を請負う出版サービスの契約ではありません。

 これに対し、自費出版は、著者からの注文によって著者に所有権のある本を制作するサービス業です。制作だけではなく販売サービスを行う場合もあります。著者との契約は、制作請負・販売委託契約ですから、出版費用は制作原価ではなく会社の利益も含めた報酬です。また、販売をする場合は、著者の本を預かって流通させ、手数料や保管料を差し引いた売上金を著者に渡すことになります。販売する場合は著者の事業という位置づけになります。出版社(制作・販売サービス会社)の顧客は本を購入する読者ではなく著者です。

 新風舎の契約書は基本的に商業出版と同様の契約形態ですから、自社の出版事業に際し著者に初版の制作費を負担してもらうというものです。したがって著者の支払う制作費は新風舎の事業への協力金といえます。また、著者に渡す一割程度の本は、資金協力する著者への贈呈本といえます。新風舎の事業なのですから、著者に請求する制作費は、新風舎が実際に負担する制作実費であるべきです。ところが、新風舎はあくまでも出版サービスだと主張し、著者に「出版形態の企画開発費や管理費」という理解しがたい多額の費用を請求して、そのような請求は健全であり正当であるとしています。

 自社の出版事業の契約をさせながら、それを出版サービス(自費出版)だと主張することに、大きな矛盾があります。そして、出版サービス契約(請負契約)と商業出版契約の違いがよく分からない著者に、制作費を負担してもらうという条件で「出版申し込み」をさせることによって、出版サービスの契約だと錯誤させているといえます。

 ところが、新風舎はそのような契約の違いについて説明をする必要がないと主張しています。これでは著者を意図的に出版サービスの契約だと錯誤させ、出版社に一方的に有利な出版形態に誘引していると受け止められても仕方ありません。

 新風舎が、共同出版(出版実現プログラム)はあくまでも「出版サービス」であり、制作費に利益を加えても正当と主張するのなら、商業出版形態の契約書を使用するべきではなく、著者に所有権のある本をつくる請負契約にすべきです。

 また、新風舎が著者から利益を得ていないという説明はとうてい信用できません。1点あたり500部程度の部数で、その大半が完売されない状況であるなら、本の売上収入はわずかと考えられます。それに比して新聞や雑誌の原稿募集広告費、コンテストの経費、営業費、会社の維持管理費、倉庫経費など、制作費とはいえない費目に巨額の経費をかけていると推測でき、それらをわずかな書籍の売上金だけで賄っているとは考えられません。共同出版社の多くが実質的に費用負担しておらず、著者から利益を得ているといわれている中で、具体的根拠を示さずにそのような主張をしても、だれも納得しないでしょう。

 なお、当会の質問に的確に回答していない項目や、理解できない部分などが多々ありますので、それらについては再度、質問をする予定です。
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by nakusukai | 2007-11-11 10:27 | 活動

質問書に対する回答について

 当会が10月1日づけで新風舎および文芸社に送付していた質問書に対し、新風舎からは10月末日までに回答するとの連絡があり、10月31日に速達にて届きました。この回答はA4の用紙10ページにわたるものですが、当会のサイトでの公開にあったっては全文を掲載してほしいとの依頼がありましたので、当会の質問を加えた回答全文を掲載します。
 なお、新風舎への質問は松崎社長に宛てたものですが、回答は松崎社長の名前も社印もないものでした。このような責任の所在を明確にしない回答については、今後、抗議するとともに改善を要求したいと考えています。

回答は長文のために3ページに分けて掲載しています。
新風舎からの回答(1)
新風舎からの回答(2)
新風舎からの回答(3)

 文芸社からは、回答期限を過ぎても回答は届いておらず、回答に関する連絡もありません。
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by nakusukai | 2007-11-04 20:45 | 活動

新風舎からの回答(3)

8.販売努力について
 貴社はアマチュアの著者に対し、書店での販売を謳って共同出版の契約を勧誘しています。出版権の設定契約をし「販売」を売りにする以上は、商品として価値のある本づくりをして販売努力をするのが筋です。ところが、貴社の編集や校正は杜撰との指摘があるうえ、積極的に販売しようとする姿勢がほとんど見られません。自社の商品の販売に力を入れない理由を説明してください。


 小社は刊行物を商品として販売し、また在庫を管理しております。制作や販売には当然力を入れています。自社の商品の販売に力を入れないわけはありません。
 まず、書籍制作においては、デザイン性の高い本づくりを目指し、社内水準を向上させるための活動の一環として、何年も前から、毎月の納品書籍を相互に品評し審査しあう「新風舎デザイン大賞」というイベントを開催しています。社内イベントのため、これまで特に広報することはありませんでしたが、このように研錬を積む環境が功を奏してか、他の出版社や書店、図書館などからも、デザイン性について評価をいただいたり、造本装幀コンクール展で受賞したりした実績もございます。書籍はジャンルによって制作や販売方法が異なることから、ジャンルごとの編集部を組織し、編集部ごとに市場調査や販売の仕掛け方を研究し、また営業先の多くの書店担当者からの助言を活かす努力をすることで、デザインから書籍内容、その見せ方まで工夫を重ねております。
 また、営業に関しても、書籍の特性に合わせて独自の努力をしております。文庫以外のオリジナル仕様の一般書籍は、その書籍に合わせた書店に対する営業を基本として行います。初動としては、著者の方から営業先のご希望を伺う「営業リクエストシート」をもとに書店への訪問、FAX、電話などの方法から小社が任意に選んだやり方で営業をしております。書店にとって書籍は商品ですから、「その書籍を店頭に置いたら売れるかもしれない」と思ってもらえる裏づけが必要です。そのため、「営業リクエストシート」を使って著者の方からもリクエストを取り、書店に対するアピールとなる情報を提供していただいています。書籍を3冊以上ご注文いただいた際には、その書籍のための手作りPOPをお付けして書店に送り、販売の機会を広げる工夫を重ねています。
 その後も、書店に対するフェア開催の提案をし、「地元著者フェア」や場合によってはオールジャンルの大規模なフェアを開催することもありますし、類書が出版された折に、新刊に合わせて既刊の本の営業を行ったり、ラジオ・テレビ・雑誌・新聞など、他媒体に書籍が取り上げられた際にその情報をPRして注文を取ったりするなど、機をとらえて随時営業を続けております。
 また、すべての書籍というわけではありませんが、書籍によっては、図書館流通センターや生協へ営業を行ったり、コンビニエンスストア、博物館、水族館へ営業をしたりするなど、書店以外の販路の開拓もしています。書店以外の販路としては、他に、宿・ホテルへの営業も行っています。旅先で書籍を手にする心地は、また日常とは違うものでしょう。宿泊客のニーズに応えるような書籍を取り揃え、宿内の販売コーナーに棚を設けてもらったり、小規模フェアの開催を行ったりすることもありますし、箱根小涌園にはセレクトショップ「熱風書房」もございます。また、賛同いただいている宿の個室には、小社の図書総目録や一部書籍も置かせていただいております。
 文庫書籍については、また別の方法を取っています。一般論として、機械的な委託配本のかたちが書籍にとって必ずしもよりよい環境ではないとの考えは前述のとおりですが、文庫についてはその限りではありません。文庫は一般的に書店の中に出版社ごとの棚(スペース)があり、そこに置かれることを前提としている書籍です。基本的に単体で営業する性質のものではないため、一般書籍とは違って配本することを基本としています。文庫の棚は出版社が買い取っているわけではなく、書店に対する営業によって確保します。そのため、文庫を配本できる書店を持っていること自体が、まず日頃の営業の結果と言えます。新風舎では、新風舎のラックを持つ書店から、約100店舗に各1冊ずつ配本を行っています。基本的に500部という小部数出版であること、注文に対応するために配本以外の部数を確保する必要もあることから、配本数は約100店舗に1冊ずつとさせていただいております。
 また、全書籍に対するお約束はできませんが、その後の任意の活動として、地元著者フェアなどの提案、文庫フェアの提案などを書店に対して行っています。
 加えて、約束事項ではありませんが、小社の任意の活動として、書籍に合わせた地元マスコミに対してリリースを送付し、書籍を紹介する活動を行っています。献本については、ご契約の内容にしたがって実施するものと、小社の任意の活動として行うものがあります。
 これらの活動によって、マスコミなどから記事掲載の申し込みがあった際には、著者にお伝えし仲介します。掲載情報については、その記事の規模や媒体、掲載のタイミングによって書店の反応が大きく異なりますが、できるだけ販促情報として活かせるように努力しています。また、著者の独自の活動によって記事となる場合も多く、そのアプローチ方法をアドバイスしたり相談に応じたりすることも、小社が著者の表現をサポートする活動の一端です。
 昨今では、インターネットが大きな影響力をもっております。書籍の特性を読者に訴求し販売や広報へも生かせるものとして、小社でもインターネットの利用に力を入れております。自社ホームページは、すべての表現者のための窓口である「MiRai」、新風舎の公式ページ、販売専用の「Wonder Book Store」、コミュニティサイトの「クリエイターズワールド」の4つからなります「MiRai」には、谷川俊太郎さんや黒田征太郎さんにも登場いただき、同じ表現者仲間として、新風舎著者とのはがき1枚を通じての交流もあります。「お知らせ」や「ニュース」記事は、ほぼ毎日少なくとも1つは更新し、1冊ごとの書籍概要を伝える「商品詳細」のページも、日々情報を加え、著者の活躍や書籍のよさをよりよく伝えるために活用しています。
 小社刊行の書籍や著者のパワーを私ども日々感じています。書籍の力が生み出し引き寄せてくる他媒体による紹介記事など、書店や読者に知らせたい情報があふれるばかりにある中で、限られた時間などの制約を受けながら、1冊でも多くの書籍と読者が出合えるように、販促、PRの努力を続けています。
 また、ここ数年、ボローニャの国際児童図書展にも出展して小社刊行の絵本を紹介するなど、海外への書籍紹介にも力を入れています。ここ1年間で、小社刊行書籍の中から100作品ほどが、外国語での翻訳出版を決定し、各国で続々と刊行されています。
 書籍の制作においても営業においても、社の方針として真剣に取り組んでいます。経費とのバランスの中で、できる限りの努力をしていますが、これまでの実績に私どもも満足しているわけではなく、今後も根気強く営業努力を続けてまいる所存です。

9.出版賞について
 貴社は、多数の出版賞を募集し、選に漏れた方ほぼ全員に作品を高く評価して「共同出版」(出版実現プログラム)を推奨してきました。しかし、このような方法は「賞」を利用した顧客集めとして多くの非難を浴びています。貴社はこのようなやり方が問題ないと考えているのかどうか、見解を説明してください。


 新風舎出版賞ばかりではなく、小社では各種のコンテストを開催してきた実績があります。一般的にコンテストと言うと、多くの中からひとつを選び出すために開催するものですが、小社におけるコンテストの開催趣旨は、端的に申しますと、創作のきっかけ作りであり、また作品を本にするためのものということになります。特に出版賞は「本にするための賞」であること、またすべてのコンテストにおいて、受賞作以外にも出版の提案をすることを、広告の段階から明記して謳っております。賞の数には限りがあるので、入賞しない作品も当然出てきますが、入賞しなかった作品だからといって出版する価値がないということはありません。小社の出版理念については、これまでに述べてきたとおりですので、もうご理解いただけるものと思います。それぞれの作品にはそれぞれの輝きがあります。商業ベースに乗らないからと言って、出版する価値がないわけではありません。表現者は多様であり、その表現者から生み出される作品も多様であり、その作品の出版によって生み出される価値も多様です。これが、既成の出版概念を破りたい、と小社が考えるゆえんです。小社が出版した数多くの本をぜひご覧いただきたいと思います。
なお、ひとりでも多くの方に出版していただきたいと考えていますが、公序良俗に反するものなど、小社の方針に合わない作品についてはお勧めしておりません。

10.原稿の審査について
 出版賞に応募した場合と、それ以外の場合について、原稿の審査過程や審査方法を具体的に説明してください。


 出版賞など、コンテストに応募された作品については、締め切り後、何段階にも及ぶ審査を重ねます。また、各段階の審査においても、一作品を必ず複数の審査員が審査し多角的に検討しています。(合議制ではなく、ひとりひとりがそれぞれ見ていく審査方式)。ですので、審査の回数を重ねる入賞作品に至っては、少なくとも10名以上の目をとおることになります。また新風舎出版賞の審査は、出版評論家、エッセイストとして著名な井狩春男さんを審査委員長に、社長・役員・社員に及ぶ全社で行います。
 また、コンテスト以外に随時応募される作品については、現状、プロデューサーの統括者が原稿を見て、内容と著者の情報から相応しい担当者を選任しています。担当者は原稿を読み込んだうえで、著者にご連絡して出版目的などを具体的に伺い、その後出版企画を立てます。原稿の段階から、市場性が見込まれる作品については、「出版オーディション」という社内会議にて各部門から集まった人員が討議、審査し、その結果、小社負担で部数を増やす(初版増刷)などの仕組みも用意しています。

11.今後の経営方針について
 貴社にマスコミによる批判が集中し、万一倒産するようなことにでもなれば、費用を支払ったにもかかわらず本が出版されない被害者が多数出てしまうことが懸念されます。また、貴社から本を出版された方々は、これからも、本を継続して販売してもらうことを望んでいることでしょう。このような事態を避けるために、貴社は速やかに疑問視されているさまざまな事柄について責任ある対応をし、必要に応じて謝罪および軌道修正を行うべきです。この点について貴社の見解をお聞かせください。


 貴会からのご質問にもお答えしたように、小社の事業を正しくご理解いただく努力を重ねていくと同時に、よりわかりやすいご説明にも力を入れていく所存です。もちろん、個別の案件において、小社に至らないところがあればお詫びするのは当然のことで、それはこれまでもこれからも変わることはございません。
 ただし、事実誤認による誹誘・中傷や、「~商法」などのような言葉を意図的に用いて悪質であるかのようなイメージを作り上げ、マスコミの報道を煽動するなどの営業妨害的な勢力に対しては、断固とした姿勢をとっていく心積もりです。
 私どもは、これまで、小社の事業や実際に行っている業務、提供しているサービスについて、外側からどう見えているのか、ということに、いささか鈍感であったのかもしれません。これまでに出版された方々や現在制作中の著者の皆様に対して果たすべき責任は、社内業務の絶え間ない改善・向上と、市場理解のための説明努力によって全うしていきたいと考えております。
 これからも、小社は商業主義に偏重することなく、表現することの価値を世の中に提示していく環境を整え、表現する人々に貢献をし続けてまいります。

■回答送付に際してのお願い■
 このたびお送りする10枚にわたる回答については、小社ホームページにも、貴会からの質問内容とともに掲載の機会を設けたいと考えております。また、貴会のサイト上に掲載する際には、抜粋や修正を行わず、全文を掲載していただきますようにお願いいたします。抜粋や修正を行うことにより、小社側の意図する文脈でなくなり結果として誤解を生じることを避けたく、長文ではありますが、何卒よろしくお取り計らいください。
                                           以上
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by nakusukai | 2007-11-04 20:29 | 質問書と回答

新風舎からの回答(2)

4.契約書の「依頼」という表現について
 貴社の契約書の第一条では、「標記の著作物(以下本著作物という)の出版を乙に依頼する」と書かれています。貴社の契約は出版委託契約ではありませんが、このような表現は著者に委託契約だと錯誤させる可能性があり不適切です。現に、貴社を提訴した原告の方たちは、委託契約だと錯誤しているようです。この点について、貴社の見解を説明してください。


 小社が提供している「初版の費用を著作者が支払って新風舎の出版物として刊行できる」という出版のかたちからして、また最終的には著作者のご判断により出版の申し込みをしていただくというかたちからして、出版を依頼するという表現には問題がないと考えております。

5.出版形態ごとの出版点数について
 貴社は企画出版・共同出版・自費出版の3種の出版形態を提示していますが、それぞれの年間の出版点数について教えてください。


 自費出版(自主出版)は別として、企画出版か否かということで、出版した書籍を分けて管理しているわけではないので、それぞれの刊行点数は公開していませんが、2006年度の刊行点数は合計2465点で、そのうち約9割が、何らかのかたちで著者の方に出版費用を負担していただき出版している書籍です。(「何らかの」というのは、初版増刷などにより制作費も一部小社が負担する場合があるため。)

6.増刷率について
 貴社の共同出版の増刷率を教えてください。また、増刷する場合、著者が本を買い取る、あるいは費用を負担する条件をつける場合があるのかどうか、あるならその割合も教えてください。


 小社ホームページでも増刷された書籍を随時ご紹介していますが、増刷にいたる書籍は、現状、全体の約1割です。またこれとは別に、小社には「初版増刷」というシステムがあり、当初500部で契約し、その制作費用を著者に負担していただいた書籍について、刊行に至るまでの間の営業・広報活動及び編集により、書籍の市場価値が高まった場合に、小社の負担で初版の部数を増やし、増刷した分の著作権使用料(印税)を著者の方にお支払いしています。
 また、本来、増刷は市場性を検討し出版社の任意の判断によって行うものですが、小社では「増刷保証制度」を設け、増刷保証の取り交わしをした書籍(全体の9割以上)については、初版の発行日から1年以内に完売した場合には必ず増刷しています。もちろん、その際の増刷費用は小社負担です。増刷保証期間を越えた場合は、その後の販売見通しから判断し増刷が必要だと考える書籍については小社負担で増刷します。これは出版社としてごく正当なことだと考えます。
 増刷保証制度をご利用になるため、著者の方が主体的にその期間終了間際の在庫書籍を買い取られることはありますが、著者に買い取っていただくことを条件としているわけではありません。また、販売の見通しから、小社負担での増刷が難しい場合でも、著者が強く増刷を希望される場合には、著者に増刷費用を負担していただければ増刷することが可能なので、そのようにご案内することはあります。

7.流通・販売の説明について
 貴社が本年7月に著者に送付した「小社に関する報道について」という文書によると、貴社は、文庫以外の書籍については取次を通じた委託配本を行っておらず、書店からの注文にのみ対応しているとのことです。書店に置かれないという著者からの苦情は、書店での販売を謳いながら、このような書籍の流通システムについて著者に十分な説明をしていなかったことに起因すると考えられますが、これまで著者にきちんと説明していなかった理由を明らかにしてください。


 回答に先立ちまして、まず、書店に対する書籍流通の仕組みを簡単にご説明いたします。
 書籍は、出版社と書店の仲立ちとなる取次と呼ばれる書籍の販売会社(卸商)を通じて流通します。一般的に、出版社からの書籍出荷は、書店からの注文にしたがって随時出荷する場合と、新刊時の取次委託配本を行うものとに大別されます。書店から注文をいただくためには書籍の存在を知らせる営業が必要です。また、委託配本というのは、出版社が取次会社に配本を委託し取次会社の任意により書店に配本するシステムですが、これについても、刊行前に出版社が書店に事前営業をしておおよその注文を取り、その注文状況をもって取次会社に交渉することによって、委託配本の部数が決まるといった工程を踏みます。小社でも、書籍によっては委託配本する場合もあります。また、小社が文庫書籍について行っている配本は、書店に対する営業の結果として設置した小社文庫専用ラックを持つ書店に対して行っているもので、取次委託配本とは性質を異にしています。
 さらに、自費出版系の他社が行っているように書店に自社の棚を買い取るかたちで確保して行う配本は、取次委託配本とも小社の文庫配本とも性質の違うものです。
 以上を前提として、ここに改めて、小社の出版姿勢と営業方針についてご説明いたします。
 小社は、誰でもが出版できる環境を提供すべく企業活動を行っています。従来の出版界では商業的価値のある本しか出版することができず、自費出版の書籍は読者が書店で買い求めることは困難でした。その既成概念を破り、小社は、初版の出版費用(制作費)を著作者にご負担いただくことによって、その著作物を小社の出版物として刊行し、書店から注文して購入することができる体制を確立いたしました。在庫の書籍については小社が頒布権を所有し、長期にわたる任意の努力によって、ひとりでも多くの読者を獲得していけるよう努めていくのが、小社の基本姿勢です。
 そもそも、表現の良し悪しを誰がどのように決めるのでしょうか。人がそれぞれ個性の輝きを放つように、人が生み出す作品もそれぞれの魅力に溢れています。「商業的価値がないから」というだけで出版できないのはあまりにも偏狭であり、それぞれの書籍の価値を求める人がきっといるはずだという考えが小社の出発点としてあります。「表現者のための出版社」を掲げているのもそういった理由です。だからこそ、小部数を基本とした出版を提案しています。
 書籍流通において、出版社は取次を経由することによって、書店に書籍を置いてもらうことができます。多くの書籍は、取次による配本により書店に流通しています。書店側は商品を委託のかたちで受け取り、返品を行うことが可能です。問屋と商店の間で売買が行われる一般商品とは、その点で仕組みを異にしている、といえます。また、書店から出版社へ直接注文を受けた際にも、書籍は取次を通して出荷されます。
 小社では、大部数を印刷し、取次に委託して形式的に書籍を配本することは、商業べ-スに乗りにくい小部数の出版には適さないと考えています。書店では、配本された書籍を必ず店頭に置くとは限らず、中には、たまたまその書店員が名前を知らない作家の作品だというだけで開封もせずに返品されてしまうものさえあるのが現実です。そのため、小社では、基本的に形式的な配本は行わず、書店に書籍を紹介して書店員に興味をもってもらい注文してもらえるよう営業を行うことを基本姿勢としています。書店からの注文を受けた書籍が取次ぎを通して書店へ届く仕組みは変わりませんが、書店側では担当者が注文した書籍が届くので、注文時のイメージにあった棚に置かれることとなります。長く在庫を抱え、地道に売り続けていくことによって、時間はかかっても、その本を真に愛読してくれる読者をひとりずつ獲得していくことを目指しています。もちろん、広く読者を獲得できる可能性がある書籍については委託配本を行っています。
 自費出版系の出版社の中には、書店の棚を買い取り、その棚に一定期間陳列するという仕組みを持つ出版社もありますが、小社は敢えてその方法を取っておりません。その手法は確かに一時的に書店に置く事実を作ることができるので魅力的に映りますが、実際には、小説、詩、写真集などジャンルを問わず同じ棚に入ってしまい、例えば詩集を求める一般読者がその特定の出版社の棚に詩集を求めに行くかといえばそうとはいえないのではないかと考えるからです。また、ごく短期間で出版社が買い戻す、この方法にたよることは、本の寿命を短命にしかねず、大きなコスト負担にもなります。したがって、この方法によるアプローチは書籍にとって相応しい方法ではないという認識を小社ではもっております。実は、小社でも似たような手法を取ったこともあるのですが、単に置くだけでは売れないということを、身をもって体験しています。ただし、やりようによっては、一定期間店頭に置く方法も書籍販売の実売につなげられる可能性があると考え、今後も検討していきたいと考えています。
 書籍を店頭に置くかどうかは書店が判断することであり、小社としてできることは、書店から注文してもらえるよう営業すること、また長期にわたって在庫し販売体制を維持することにより可能性を広げていくことであると、契約までの段階で口頭説明や企画書、「制作から販売までQ&A」などの資料でお伝えしています。が、これまで一般には開放されていなかった、出版の世界、出版流通の複雑な世界を小社がはじめに開いた、という責任を常にもちながら、今後はさらにわかりやすくご理解いただけるよう、努めてまいりたいと思います。実際に、新しい資料作りなどの計画を具体的に進めているところです。
 また、それぞれの輝きを湛える本の存在を多くの人に知ってほしい、本を大切に売り続けるということの大事さを多くの人にわかってほしい、そんな思いから直営の書店を作り運営し続けてきました。大都市に店を構えて維持していくことは、けっして簡単なことではありませんが、少しでも、新風舎刊行書籍を長期で店頭販売する機会を生み出したい、という思いから、直営書店を運営しています。
つづく
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by nakusukai | 2007-11-04 20:23 | 質問書と回答

新風舎からの回答(1)

共同出版・自費出版の被害をなくす会御中

                                 2007年10月30日
                                 株式会社 新風舎

                 公開質問書への回答


 小社は、自由な出版環境や表現の場を用意して、多くの人に≪表現の愉しみ≫を知ってもらうこと、表現によって人がつながり、この世界を楽しんでもらうことを目指して、出版業と出版サービス業を主軸とした企業活動を行なっております。
 創業から現在までの間に、10,000点以上の書籍を刊行し、そのほとんどの著者の方と現在も契約関係にあり、お付き合いを継続しております。
 そのような中、本年7月4日に、小社で出版した著者を含む4名の方が小社に対して損害賠償請求を起こしました。この事実については厳粛に受け止め、円満に解決することを目指しているところでございます。小社に対する提訴によって、他の著者の方々にご心配やご迷惑をおかけしたことを文書にてお詫びいたしましたが、提訴に付随するマスコミ報道の中には、事実誤認に基づく内容も多く、それによって小社事業や表現活動をする著者に対する多くの誤解を生じたことは、誠に遺憾に思っております。
 この機会に、改めて小社事業に関して皆様にご理解を深めていただければと考え、以下のとおり、ご説明いたします。

■質問への回答■

1.著者の負担する費用について
(1)貴社は、昨年までの新聞広告において、「出版実現プログラム」での著者の負担費用は「制作費」であると明記しています。朝日新聞のフロントライナー(2006年10月7日付け)でも、松崎社長みずから、「印刷や装丁などの制作費を著者が、販売や宣伝費などはこちらが持ちます」と説明しています。また、読売新聞(2005年8月3日付け)でも同様の説明をしています。
しかし、貴社が著者に請求している「制作費」は印刷や製本、組版またはDTP、編集やデザインなどの原価を上回り、結果的に著者が販売や宣伝費も負担しているものと推測されます。例えば、貴社がオリーブさん(ハンドルネーム)に提示した見積金額の内訳が、インターネット上で公開されています(My News Japan 2007年2月6日)。それによると、約250万円(消費税を含む)の制作費のうち、企画費17万8000円、管理費11万9000円となっていますが、企画費に17万8000円もかかるとは信じがたいことです。「企画費の内容の内訳」「管理費の内訳」について説明してください。
 また、貴社が「制作費」として著者に提示している費用は、原価として算出しているものなのか、それとも請負契約のように利益を加算したものなのか、明確に説明してください。

(2)著者に提示している費用が原価ではない場合、貴社が実質的に何ら費用負担しておらず著者から利益を得ている疑いがもたれます。商業出版形態の契約の場合、出版社は本の販売収益を得ることを前提としているのですから、著者から利益を得ているのであればきわめて不公正な取引といえます。貴社は実質的に費用負担をしているのか、あるいはしていないのか、説明してください。

(3)著者に提示している費用が原価ではなく、利益を加算している場合、制作費、すなわち自社の商品の生産費用に利益を加算することが正当と考える理由を説明してください。

(4)貴社はこれまで著者の負担金は「制作費」であると説明してきましたが、契約書にはそれが明記されていません。新聞広告などでは「制作費」と明記しながら、契約書には著者の負担金が「制作費」であることを明記していない理由について、説明してください。

(5)最近の新聞広告では、著者の負担金は「制作費」ではなく「出版費用」となっていますが、これらの違いについて説明してください。


(1)~(5)についてまとめてお答えします。
 小社の出版実現プログラムにおいて、著者の方に負担していただく費用については、現在、「出版費用および販促オプション費用」とご説明しております。説明文言変更の理由と費用に関してご説明いたします。
 旧来の「自費出版」は、印刷・製本し、全冊を発注者にお渡しして業務完了というものでした。その形態においては、出版費用=書籍制作費であり、出版とは称しますが、本の形に作る、というところで終わりでした。
 しかしながら、小社が提示する「出版」は、書籍の制作のみならず、その後の宣伝、販売、在庫管理等々まで含んだ総合的なものですので、著者にご負担いただく費用を端的に説明する際、その都度、わかりやすさを考慮して、「出版費用の一部」「制作費」などの表現を用いた経緯がございます。現在、「出版費用」とお伝えしているのは、「制作費」と言った場合に、著者の方が「印刷・製本」だけをイメージしがちであることや、「出版費用」という言い方をした方が、実際に行っている制作業務全般をイメージしていただきやすいとの判断からです。説明文言については今後も変わる可能性がありますが、いずれにしても、わかりやすい説明を心がけていきたいと考えています。
 また、制作費については、組版、DTP、編集、デザインなど、編集担当者の人件費や外部業者へ発注する価格と、印刷・製本の費用、管理部門を含めた人件費など、制作に関わる一切を含んだものです。一点一点の書籍について最終的に事実上の利益がどれくらい出るか、または出ないか、ということはひじょうに算出が困難ですが、総じて言えば、ほとんど利益は出ておりません。ただ、企業運営として、出版サービス業においても、著者にご提示する費用に利益を計上するのが、むしろ健全であり、正当なことと思われます。
 費用の明細については、外部業者への発注金額が業者間の取り決めにより公表できない性質のものであることなど、開示できない情報を含むなどの理由から、正確なものをお出しすることが難しいため、現在はお出ししておりません。以前には、企画費・管理費などに分けてご説明したことがありますが、それぞれが、明細費用の積み上げとしてお出ししている数字というわけではなく、小社における出版形態の企画開発費や管理費の割合をご提示金額の総額の中でわかりやすく提示したものです。事実上は、費用のほとんどは上記のように制作費として使わせていただいています。
 また、小社は実質的に費用を負担しています。書籍の流通体制を維持し、長期にわたり在庫管理をしていくだけでも、多額の費用がかかります。書籍の営業・販売は、当然営業経費とのバランスの中で行っていきますが、在庫を抱えたまま売らずにいれば経費はかさむ一方です。また、営業によって書店から注文を取り、取次(書籍の販売会社、卸商)を通して出荷しても、出版流通の特性上、結果的に売れずに返品されてくる場合もあり、その返品手数料も小社が負担しています。誤解を懼れずに言えば、売れ筋書籍の販売利益が小部数書籍に関する多様な営業と長期販売を支えていると言っても過言ではありません。
 著者に負担していただく費用が、概して100~200万円という金額であるため、印刷所における印刷・製本の費用と単純比較して、膨大な利益を生んでいるとの誤解につながっているのかもしれませんが、実際にはそのようなことはありません。
 そもそも私どもは、出版サービスと書籍販売とで利益を生み出し、さらに表現の場を広めるために投資し、結果として、表現者に楽しんでいただける環境を作ることを目指しています。むしろ、さらに企業努力して経費節減にも努め、利益を生む努力をしていかねばならないと考えています。

2.呼称、負担費用説明の変更について
 貴社は、これまで「共同出版」という呼称を用い、著者の方たちに出版社と著者が出版費用を分担しているかのように説明してきましたが、その後「出版実現プログラム」と呼称を変えました。契約形態・内容はほとんど変わっていないにも関わらず、名称を変更した理由を説明してください。


 著者に負担していただく費用の説明の言葉が変遷してきているのは、前述のとおり、随時、よりわかりやすい説明を考慮してきた結果です。
 また、「共同出版」という呼称は、出版が著者と出版社との共同作業であることや、書籍制作から刊行後の長きにわたるまで著者と出版社として対等の立場で歩んでいきたいという理念、また実際に、小社も費用を負担しリスクを負うことなどを総合的に表現するものとして、約2年前まで使用していました。これを現在の「出版実現プログラム」に変更した背景には、他社で同じような呼称を用いながらも、似て非なる出版形態がいくつか出てきたため、混同や誤解を防ぎ差別化を図る目的がありましたが、この呼称が意図するところもまた、小社の理念に根ざしています。小社が目指しているのは、本を出して終わりではなく、出版を実現すると同時に出版によってその後の著者の活動や人とのつながりが広がることであり、もちろん、それがすべての人に約束できるというわけではありませんが、理想を言葉にして表し実現に向かうべく、「出版実現プログラム」と名づけました。

3.契約形態の説明について
 貴社は、著者を勧誘する際、「全国の書店で販売する点が自費出版とは異なる」との説明をしているようですが、貴社の契約書は通常の自費出版のような制作請負・販売委託契約ではありません。書籍の所有権も貴社にあり、増刷時からは著者に印税が支払われる契約ですから、事業者同士の出版権設定の契約です。このように、自費出版とは契約形態が異なることを著者には説明していなかったようですが、その理由を説明してください。


 小社が提示している出版のあり方と、小社が著者と取り結んでいる出版契約のかたちとに齟齬はないと考えておりますので、契約の「形態」について著者にご説明する必要があるとの認識はございませんし、貴会が主張されるように、「出版契約」の形態であることに不都合や問題があるとは考えておりません。むしろ、大切なことは、契約の内容であり、この契約を取り結ぶことによって生じる相互の権利関係や小社が個々の著作者に対して提供する業務は何か、を明確にすることであると考えます。それらは、個別の企画書や出版申込書にて明示してお伝えしております。企画書や出版申込書は提供する役務内容を明らかにするためのもの、契約書は出版権(複製権)、著作権、頒布権などの権利関係を明らかにするためのものと捉え、総合的に判断のうえ、契約していただいております。
 ただ、より深くご理解をいただけるようなわかりやすい提案や説明については、今後も研究・開発を重ねてまいりたいと考えています。
つづく
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by nakusukai | 2007-11-04 20:22 | 質問書と回答