カテゴリ:共同出版とは( 1 )

共同出版とその問題点

 私たちが問題にしている出版形態は、いわゆる商業出版と同様に、販売を前提として出版社に出版権(本の複製と頒布の権利)を設定する契約を交わすが、著作権者にも出版費用を負担してもらうというものです。出版権設定の契約であり、本の所有権は出版社にあるため、本の売上金は出版社のものとなります(制作請負契約を交わす自費出版では、売上金は著作権者のものになります)。こうした出版形態は共同出版あるいは協力出版などと呼ばれてきましたが、名称は出版社によってさまざまです。最近では、共同出版などという呼称を用いずに、自費出版としている出版社もあるようです。

 このような出版形態は、契約内容(事前の説明も含む)から、出版社と著作権家者の双方が費用を分担する条件での商業出版と捉えられます。出版社も実質的に費用負担をして、本の販売収入によって利益をあげているのであれば、問題があるとは思いません。しかし、実際には、出版社の利益を含む多額の費用を著作権者に請求し、ずさんな本づくりで制作費を抑えることで、出版社がなんら費用負担していない場合が多いと考えられます。出版社に一方的に有利な出版形態といえます。

 出版社は、本がほとんど売れなくても著作権者から支払ってもらった費用で利益を得ることができるために、販売が困難な本でもこの出版形態を推奨することができます。このために販売に期待のもてない作品であっても、意図的に高く評価する、あるいは書店に並べることをメリットとして説明するなどして契約を誘います。多くの契約をとるために出版賞を設けて作品を募り、応募した大半の作品に共同出版を勧誘している出版社もあります。

 また、「全国の書店での販売」を触れ込みながら、「有料で借りている提携書店の棚に一定期間並べるだけ」、「注文だけに対応」などといった販売方法しかとらない出版社が多く、ほとんどの場合わずかな販売しか見込めません。出版社はアマチュアの本がほとんど売れないことを承知のうえで勧誘しているといえます。

 出版・流通などの知識のない多くの著作権者は、制作請負契約を交わす自費出版との区別がわからず、アマチュアの本がほとんど売れないという実情もわかりません。そのために多額の利益が含まれた費用に大きな疑問を持たず、また一般の商業出版の書籍のように書店で扱ってもらえると錯誤して契約してしまいます。

 さらに、支払の困難な著者には信販会社のローンを勧める出版社があります。この場合、出版社とトラブルになった場合でも信販会社に支払い義務が生じるという問題があります。

 このように、著者を錯誤させるような勧誘をし、出版社が費用負担せずに出版社の商品をつくるところに大きな問題のある商法です。
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by nakusukai | 2007-07-11 09:17 | 共同出版とは