新風舎の回答への見解

 新風舎の回答は、共同出版(出版実現プログラム)とは、商業出版同様、出版社が売上金を得ることを目的として出版社の商品をつくる出版権の設定契約をするが、それは著者の本をつくって流通させるというサービスを提供するものであり、制作費は原価ではなく利益を加算していても正当というものです。これは、サービス契約(請負契約)ではない商業出版の契約書を用いながら、著者へのサービスだとする矛盾した主張であり、商業出版と自費出版(制作・販売サービス)を混同させることで、著者を錯誤させる商法といえます。

 出版業(商業出版)というのは出版社が書籍を製造、販売して売上金を得る事業であり、本を購入する読者が顧客です。著者と締結する出版契約は、出版社が自社の出版事業を行うために、出版社に出版権(複製と頒布の権利)を設定するという財産権の取引契約であり、著者の本の制作・販売を請負う出版サービスの契約ではありません。

 これに対し、自費出版は、著者からの注文によって著者に所有権のある本を制作するサービス業です。制作だけではなく販売サービスを行う場合もあります。著者との契約は、制作請負・販売委託契約ですから、出版費用は制作原価ではなく会社の利益も含めた報酬です。また、販売をする場合は、著者の本を預かって流通させ、手数料や保管料を差し引いた売上金を著者に渡すことになります。販売する場合は著者の事業という位置づけになります。出版社(制作・販売サービス会社)の顧客は本を購入する読者ではなく著者です。

 新風舎の契約書は基本的に商業出版と同様の契約形態ですから、自社の出版事業に際し著者に初版の制作費を負担してもらうというものです。したがって著者の支払う制作費は新風舎の事業への協力金といえます。また、著者に渡す一割程度の本は、資金協力する著者への贈呈本といえます。新風舎の事業なのですから、著者に請求する制作費は、新風舎が実際に負担する制作実費であるべきです。ところが、新風舎はあくまでも出版サービスだと主張し、著者に「出版形態の企画開発費や管理費」という理解しがたい多額の費用を請求して、そのような請求は健全であり正当であるとしています。

 自社の出版事業の契約をさせながら、それを出版サービス(自費出版)だと主張することに、大きな矛盾があります。そして、出版サービス契約(請負契約)と商業出版契約の違いがよく分からない著者に、制作費を負担してもらうという条件で「出版申し込み」をさせることによって、出版サービスの契約だと錯誤させているといえます。

 ところが、新風舎はそのような契約の違いについて説明をする必要がないと主張しています。これでは著者を意図的に出版サービスの契約だと錯誤させ、出版社に一方的に有利な出版形態に誘引していると受け止められても仕方ありません。

 新風舎が、共同出版(出版実現プログラム)はあくまでも「出版サービス」であり、制作費に利益を加えても正当と主張するのなら、商業出版形態の契約書を使用するべきではなく、著者に所有権のある本をつくる請負契約にすべきです。

 また、新風舎が著者から利益を得ていないという説明はとうてい信用できません。1点あたり500部程度の部数で、その大半が完売されない状況であるなら、本の売上収入はわずかと考えられます。それに比して新聞や雑誌の原稿募集広告費、コンテストの経費、営業費、会社の維持管理費、倉庫経費など、制作費とはいえない費目に巨額の経費をかけていると推測でき、それらをわずかな書籍の売上金だけで賄っているとは考えられません。共同出版社の多くが実質的に費用負担しておらず、著者から利益を得ているといわれている中で、具体的根拠を示さずにそのような主張をしても、だれも納得しないでしょう。

 なお、当会の質問に的確に回答していない項目や、理解できない部分などが多々ありますので、それらについては再度、質問をする予定です。
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by nakusukai | 2007-11-11 10:27 | 活動
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