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新風舎への質問書

                                       2007年10月1日

株式会社新風舎
代表取締役社長 松崎義行 様

                           共同出版・自費出版の被害をなくす会
                           代表 松田まゆみ

                    公開質問書

 共同出版・協力出版などと称して行われている出版形態では、しばしば著者とトラブルとなり、被害者意識をもっている方、あるいはこのような出版形態に疑問を抱いている方が少なくありません。私たち「共同出版・自費出版の被害をなくす会」は、このような出版形態での被害者をなくすことを目的に活動しているNGOです。
 当会は、貴社の「共同出版」あるいは「出版実現プログラム」において、著者としばしばトラブルが生じており、集団訴訟にまで発展している事態を大変憂慮しております。このようなトラブルは、貴社の説明が不適切であったために著者を錯誤させていること、著者の負担する費用が不明瞭であること、あるいはシステムに問題があることによって生じていると考えています。
 私たちは、貴社が著者の疑問を真摯に受け止め、適正な出版形態を再構築することでトラブルや批判をなくす努力をし、信頼回復をしていただきたいと望んでおります。そこで問題点を明瞭にし、問題解決に向けての糸口を見出すために、以下の質問にご回答くださいますよう、お願い申し上げます。お忙しいところ大変恐縮ですが、10月25日までに書面にてご回答ください。
 なお、この質問書と貴社からの回答は公開とし、当会のサイトに掲載させていただくことを申し添えます。

                      記

1.著者の負担する費用について
(1)貴社は、昨年までの新聞広告において、「出版実現プログラム」での著者の負担費用は「制作費」であると明記しています。朝日新聞のフロントライナー(2006年10月7日付け)でも、松崎社長みずから、「印刷や装丁などの制作費を著者が、販売や宣伝費などはこちらが持ちます」と説明しています。また、読売新聞(2005年8月3日付け)でも同様の説明をしています。
 しかし、貴社が著者に請求している「制作費」は印刷や製本、組版またはDTP、編集やデザインなどの原価を上回り、結果的に著者が販売や宣伝費も負担しているものと推測されます。例えば、貴社がオリーブさん(ハンドルネーム)に提示した見積金額の内訳が、インターネット上で公開されています(My News Japan 2007年2月6日)。それによると、約250万円(消費税を含む)の制作費のうち、企画費17万8000円、管理費11万9000円となっていますが、企画費に17万8000円もかかるとは信じがたいことです。「企画費の内容の内訳」「管理費の内訳」について説明してください。
 また、貴社が「制作費」として著者に提示している費用は、原価として算出しているものなのか、それとも請負契約のように利益を加算したものなのか、明確に説明してください。

(2)著者に提示している費用が原価ではない場合、貴社が実質的に何ら費用負担しておらず著者から利益を得ている疑いがもたれます。商業出版形態の契約の場合、出版社は本の販売収益を得ることを前提としているのですから、著者から利益を得ているのであればきわめて不公正な取引といえます。貴社は実質的に費用負担をしているのか、あるいはしていないのか、説明してください。

(3)著者に提示している費用が原価ではなく、利益を加算している場合、制作費、すなわち自社の商品の生産費用に利益を加算することが正当と考える理由を説明してください。

(4)貴社はこれまで著者の負担金は「制作費」であると説明してきましたが、契約書にはそれが明記されていません。新聞広告などでは「制作費」と明記しながら、契約書には著者の負担金が「制作費」であることを明記していない理由について、説明してください。

(5)最近の新聞広告では、著者の負担金は「制作費」ではなく「出版費用」となっていますが、これらの違いについて説明してください。

2.呼称、負担費用の変更について
 貴社は、これまで「共同出版」という呼称を用い、著者の方たちに出版社と著者が出版費用を分担しているかのように説明してきましたが、その後「出版実現プログラム」と呼称を変えました。契約形態・内容はほとんど変わっていないにも関わらず、名称を変更した理由を説明してください。

3.契約形態の説明について
 貴社は、著者を勧誘する際、「全国の書店で販売する点が自費出版とは異なる」との説明をしているようですが、貴社の契約書は通常の自費出版のような制作請負・販売委託契約ではありません。書籍の所有権も貴社にあり、増刷時からは著者に印税が支払われる契約ですから、事業者同士の出版権設定の契約です。このように、自費出版とは契約形態が異なることを著者には説明していなかったようですが、その理由を説明してください。

4.契約書の「依頼」という表現について
 貴社の契約書の第一条では、「標記の著作物(以下本著作物という)の出版を乙に依頼する」と書かれています。貴社の契約は出版委託契約ではありませんが、このような表現は著者に委託契約だと錯誤させる可能性があり不適切です。現に、貴社を提訴した原告の方たちは、委託契約だと錯誤しているようです。この点について、貴社の見解を説明してください。

5.出版形態ごとの出版点数について
 貴社は企画出版・共同出版・自費出版の3種の出版形態を提示していますが、それぞれの年間の出版点数について教えてください。

6.増刷率について
 貴社の共同出版の増刷率を教えてください。また、増刷する場合、著者が本を買い取る、あるいは費用を負担する条件をつける場合があるのかどうか、あるならその割合も教えてください。

7.流通・販売の説明について
 貴社が本年7月に著者に送付した「小社に関する報道について」という文書によると、貴社は、文庫以外の書籍については取次を通じた委託配本を行っておらず、書店からの注文にのみ対応しているとのことです。書店に置かれないという著者からの苦情は、書店での販売を謳いながら、このような書籍の流通システムについて著者に十分な説明をしていなかったことに起因すると考えられますが、これまで著者にきちんと説明していなかった理由を明らかにしてください。

8.販売努力について
 貴社はアマチュアの著者に対し、書店での販売を謳って共同出版の契約を勧誘しています。出版権の設定契約をし「販売」を売りにする以上は、商品として価値のある本づくりをして販売努力をするのが筋です。ところが、貴社の編集や校正は杜撰との指摘があるうえ、積極的に販売しようとする姿勢がほとんど見られません。自社の商品の販売に力を入れない理由を説明してください。

9.出版賞について
 貴社は、多数の出版賞を募集し、選に漏れた方ほぼ全員に作品を高く評価して「共同出版」(出版実現プログラム)を推奨してきました。しかし、このような方法は「賞」を利用した顧客集めとして多くの非難を浴びています。貴社はこのようなやり方が問題ないと考えているのかどうか、見解を説明してください。

10.原稿の審査について
 出版賞に応募した場合と、それ以外の場合について、原稿の審査過程や審査方法を具体的に説明してください。

11.今後の経営方針について
 貴社にマスコミによる批判が集中し、万一倒産するようなことにでもなれば、費用を支払ったにもかかわらず本が出版されない被害者が多数出てしまうことが懸念されます。また、貴社から本を出版された方々は、これからも、本を継続して販売してもらうことを望んでいることでしょう。このような事態を避けるために、貴社は速やかに疑問視されているさまざまな事柄について責任ある対応をし、必要に応じて謝罪および軌道修正を行うべきです。この点について貴社の見解をお聞かせください。
by nakusukai | 2007-10-03 22:44 | 質問書と回答
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